卵はたくさん食べても良い?悪い?どちらだと思いますか?「食べすぎはよくない」とか「コレステロールのとり過ぎ?」、「1日1個まで」など様々な意見があります。そこで今回は知っているようで知らないコレステロールの調整法を紹介します。
目次
卵はたくさん食べてもコレステロールは増えない?
卵やいか、いくらといったコレステロールを多く含む食品はこれまで摂り過ぎるとよくないとされてきました。
ところが今年アメリカで「コレステロールの摂取制限の必要はない」という報告がされました。びっくりですね。
さらに日本でも、厚生労働省が定める食事摂取基準で動きがありました。
これまで設定されていたコレステロールの食事摂取目標量が2015年には無くなっていました(2010年は男性750mg未満、女性600mg未満)。
これは「十分な科学的根拠が得られなかったため、目標量の算定は控えた」が理由のようです。
コレステロールを食事からたくさん摂っても血液中のコレステロールが上がる人と上がらない人がいます。
どういうことかというと、体のコレステロールを肝臓がコントロールしてくれているからです。
体の中のコレステロールは食品から摂取されたものが30%、70%は肝臓で別の栄養素から作られたものなんです。
さらに肝臓には体の中のコレステロールを調整する機能があり、たくさん食べたとしても肝臓で作り出す量を減らしてくれるので上がらない人がいるんです。
悪者にされがちなコレステロールですが、身体の中の細胞膜やホルモンの材料となる健康のためには必要で、欠かせない成分なんです。
逆にコレステロールの数値が高くなってしまうのには様々な原因があります。
血液中のコレステロールには大きく分けてLDL(悪玉)とHDL(善玉)の2つがあり、それぞれ役割が違います。
LDLは身体の材料となるコレステロールを必要な場所まで運ぶ役割。
HDLは余ったコレステロールを持って行ってくれる役割です。
これらのバランスがとれているときは大丈夫なんですが、LDLだけが増えてしまうとコレステロールをたくさん運んできてしまいます。
すると、どんどん溜まっていってしまい、結果血流の流れが止まってしまって、狭心症や心筋梗塞などの病気を引き起こしてしまいます。
そのためLDLは悪玉コレステロールと呼ばれ、HDLは善玉コレステロールと呼ばれるんです。つまり大切なのは数値が高さではなく、LDLとHDLのバランスなんです。
どのくらいの比率だと良いのかというと、LDL(悪玉)÷HDL(善玉)=を計算して、3以上は危険域、2〜3は注意、2以下は正常となっています。
ちなみに、LDLの基準値は70〜139、HDLは40〜94となっています。
悪玉コレステロール(LDL)が増える原因は?
LDLが増えすぎてしまう理由はいろいろな原因がありますが、その1つが「食べ過ぎ(カロリーオーバー)」です。
エネルギー量をたくさん摂り過ぎると悪玉コレステロールが増えてしまいます。
身体で消費するエネルギーを上回ってカロリーを摂り過ぎると、余分なエネルギーが肝臓でアセチルCoAという物質を生みます。
アセチルCoAが増えてしまうとコレステロールを作り出してしまうので、結果、調整できなくなって悪玉コレステロールが増えてしまうんです。
また、食べ過ぎによって内臓脂肪が溜まることもLDLを増やす原因になってしまいます。
バターや肉の脂などの飽和脂肪酸もLDLを増やす原因になります。
他のの原因としては「閉経」が挙げられます。女性は閉経するとエストロゲンというホルモンが減ってきます。
このエストロゲンはLDLを肝臓に取り込んで分解を助ける働きがあります。閉経してエストロゲンが減少すると血液中のLDLが増えてきます。
なので、更年期の女性は悪玉コレステロールが高くなってしまうんです。女性は閉経後も若いときと同じような食事や運動不足だとどんどん悪玉コレステロールが増えてしまいます。
コレステロールが高くなる体質の方もいます。
食事で摂ったコレステロールは腸管から吸収されるのですが、この吸収が非常に良い体質を持っている方が日本人の約3割と言われています。
痩せていたり生活習慣に問題がないにもかかわらず、LDLが高いのは体質の可能性があります。
このような体質の方はコレステロールを多く含む食品には注意するようにしましょう。
家族が血管の病気でお亡くなりになられている方はこの体質の可能性が普通の人に比べて高くなっています。
食品による血液中のコレステロールの影響は個人差が大きくなります。
なので、体質が原因でLDLの数値が高くなってしまう方はコレステロールの食品を控えた方が良いのですが、カロリーオーバーなどの生活習慣や閉経などが原因で数値が高い方はそれほど気にしなくても良いんです。
LDLコレステロールを増やす生活習慣
- 飽和脂肪酸(動物性脂肪)
- 食べ過ぎ・肥満
- 運動不足
- 睡眠不足
- 飲酒・喫煙
食品から摂るコレステロールよりも注意すべき点は他の部分にあります。
食品だけ注意してもこれらの生活習慣で数値は高くなってしまうので、気にすべきことは生活習慣です。
悪玉コレステロールが高い人は牛乳屋ヨーグルトなどの乳製品にも注意が必要です。
乳製品には動物性脂肪が多く含まれています。数値が高い人は1日牛乳200〜400ccに抑えたり、低脂肪にすると良いと思います。
善玉を増やして血管を若返らせる方法とは?
コレステロールが増えてしまうことでできる血管のプラークですが、今までは一度できてしまうと減らすことができないと考えられてきました。
ところが、プラークは小さくすることができることがわかってきました。
有酸素運動
ウォーキングなどの有酸素運動を行うことでHDLを増やすことができます。
しかも、HDLは悪玉コレステロールを減らしてくれる働き以外に、プラークを除去する働きもあるんです。
食事
大豆や青魚、酒粕などはLDLを下げて、HDLを上げる効果があるので、気になる方は意識して摂るようにすると良いと思います。
腎臓や甲状腺の病気などでコレステロールの数値が上がることがあるので注意が必要です。数値を見ておかしいなと思ったら医師に相談してみましょう。